24日(日)じゃん亭にて行われた第8期プロクィーン決定戦(2日目)
を観戦に行ってきました。決勝卓のメンバーは次の5人。
黒沢咲プロ(連盟) :第6・7期プロクィーン ディフェンディング
石井あやプロ(最高位戦):最高位戦唯一の勝ち残り 決勝初出場
岩井茜プロ(連盟) :2008年 第6期プロクィーン4位
内田美乃里プロ(連盟) :2007年 第5期プロクィーン3位
石井阿依プロ(協会) :第6期から3期連続決勝進出(5位・3位)
5人中、プロクィーン決勝が初めてなのは石井あやプロだけというメンツで
決勝の雰囲気を知るものが集まった。
個人的に関わりのあるのはフリーでお世話になっている黒沢咲プロや岩井茜
プロがいるが石井あやプロともアマチュア時代にさん上野店で対戦している。
初日5回戦の結果はこちら。

会場に向かう途中、初日を4位で終えた黒沢pに遭遇するが表情にくもりは
なく自然な笑顔を見せてくれた。が、逆にこの笑顔がいつもの決勝の舞台で
の張りつめた雰囲気と違うなと感じた。
開始10分前に会場前に到着したが、それ以降は決勝メンバーには遭遇しな
かったのでおそらく最後に入場したのが黒沢プロだったのだろう。
12:00マイミクのシロフネさんと合流し、今回はフル観戦。
■6回戦 抜け番:内田p
石井あやpが小刻みに点棒を重ね、南2局、黒沢pが中、ドラ3の満貫を
ツモり3人浮き状態。
南3局、黒沢pの親番で岩井pの手牌は以下で少考。
三四四五六七七八(45)357 ツモ九
ここで345の三色を見切り三萬切り。次巡嵌張の4索を引きいれ立直。
四四五六七七八九(45)345 ツモ(6)
(6)筒が裏ドラとなり3000・6000のツモ和了り。黒沢pが親
カブリで再び原点を割る。
南4局1本場、岩井pの配牌。
一一七七七(68999)6西西發
三暗刻、四暗刻まで見える好配牌だったが不発。
続く2本場では以下の手牌。
七八(12378)345589 ツモ(9)
三色に向かうかと思われたが岩井pの選択はメンツ確定の5索切り。
これが石井あやpへの3900(4500)放銃となってしまう。
<6回戦結果>
石井阿依p:▲26.1 黒沢p:▲8.2 岩井p:2.6 石井あやp:31.7
<小計>
内田p:▲89.9 石井阿依p:43.9 黒沢p:▲27.0 岩井p:14.0 石井あやp:59.0
■7回戦 抜け番:岩井p
石井阿依プロの麻雀はプロクィーン決勝でしか見たことはないが、ツモ
に逆らわない素直な打牌をする。この日一番配牌もツモよく自然とドラ
も集まってきていた。
南3局、親の石井阿依pが立直、一発、ツモに裏ドラ乗せ4000ALL。
オーラス、ドラ中で白ドラドラの3900を黒沢pより出和了りトップ。
内田pはスピード負けという感じでノーホーラだった気がする・・・。
<7回戦結果>
内田p:▲24.8 石井阿依p:31.2 黒沢p:3.4 石井あやp:▲9.8
<小計>
内田p:▲114.7 石井阿依p:75.1 黒沢p:▲23.6 岩井p:14.0 石井あやp:49.2
■8回戦 抜け番:石井阿依p
この日2回戦を終了した時点で未だ波に乗れないディフェンディングの
黒沢p。前日は見ていなかったのだが、この日を見る限りでは昨年とは
明らかに違う雰囲気だったように思う。敢えて言うならばオーラが出て
いないというか勝利への執着心が薄れているような感じ。それを象徴す
るかのように黒沢pの配牌はまるで和了りから遠ざけられているかのよ
うにいつものセレブ配牌がほどんどなく一般人もしかしたらそれ以下の
バラバラの配牌が多かった。
・南1局1本場、親番:石井あやp ドラ七
岩井pが以下の手牌で立直。すると同巡で親の石井あやpも(58)筒
待ちで立直。
三四五六七八(11456)34
ここにまさかの一発目で黒沢pが5索で飛び込み裏が乗り12000の放銃。
詳しい場況は忘れてしまったが岩井pもちょっと意外な表情だったように
ここでの5索切りは黒沢pらしからぬ選択だったのではないか。
・南1局1本場 親番:内田p ドラ發
岩井pが辛抱強くドラを重ね立直するも一人聴牌の流局でトップ目に。
三四五六七八(234)56發發
オーラストップ目とは1000点差の内田pが400・700をツモり接戦を
ものにし8回戦にして初トップ。
<8回戦結果>
内田p:24.5 黒沢p:▲38.3 岩井p:13.0 石井あやp:0.8
<小計>
内田p:▲90.2 石井阿依p:75.1 黒沢p:▲61.9 岩井p:27.0 石井あやp:50.0
■9回戦 抜け番:石井あやp
連盟プロ3人に協会プロ1人の構図。手役派の多い連盟プロがその破壊
力を見せつける回となる。
まずは8回戦で待望の初トップを取った内田pが幸先良くドラ含みの親
の七対子4000ALLをツモ和了ると続く1本場で黒沢pの手牌は以下。
三四五七七(345)34567 ドラ(4)
石井阿依pはドラ表示牌での嵌張(3)筒で立直、岩井pも中を仕掛け
筒子の混一で嵌張(3)筒待ち聴牌。石井阿依pが8索を掴み黒沢pへ
12000放銃。
・東2局 親番:黒沢p ドラ7索
親の黒沢p、高目を狙ってのダマで満貫。これで石井阿依pは箱下に。
一一二三七八九(789)123 一ロン 石井阿依p→黒沢p12000
・南1局 親番:石井阿依p ドラ七萬
親の石井阿依pが以下の手で立直。
三四(23477)345678
手役派のプロであれば三色手変わりも見て数巡回す人もいるであろう。
いや箱下のダンラスでこの日の石井阿依pの良ツモを見ていれば2索、
または(5)筒引いての三色を狙うべきであったと思うが、肝心の当人
が自分のツキに気付いてない?のではしょうがない。
実際に立直後の次巡に(5)筒をツモ、数巡後にも(5)筒をツモり、
高目のチャンスを逃しているが他の三人が警戒し、結局一人聴牌で流局。
・南1局5本場 親番:石井阿依p
西家の黒沢pが立直、西、一発ツモで満貫。
・南2局 親番:内田p ドラ五萬
三色はこう作ると言わんばかりに親の内田pが以下の手牌で立直。
捨牌:東(3355)西五4(ツモ切り)3(手出し)
七八九(789)1123489
4索のツモ切りで3索の空切りがあまり意味をなさなくなってしまった
のかもしれないが7索は出ずに一人聴牌で流局。
・南4局1本場 親:岩井p
どんなに放銃してもツキが衰えない石井阿依pがメンピン一発ツモに裏
ドラを乗せ3000・6000(3100・6100)で箱下から回復。岩井p親カブリ
で痛すぎるマイナス。
次回抜け番となる黒沢pはようやく女王の片鱗を見せトップ。まさかの
足切り争いになるかと思われたが最終回までの望みを繋ぐ。
<9回戦結果>
内田p:12.8 石井阿依p:▲44.3 黒沢p:43.8 岩井p:▲12.3
<小計>
内田p:▲77.4 石井阿依p:30.8 黒沢p:▲18.1 岩井p:14.7 石井あやp:50.0
■10回戦 抜け番:黒沢p
この回で5位が確定(足切り)するが現在5位の内田pの標的黒沢pは
抜け番で卓にはいない。となると自力で叩く以外、内田pの生き残る術
はない。
・東3局 親番:石井阿依p ドラ南
(11445566789)南南 (1)ロン
石井あやpが倍満まで狙わず辺張(3)筒待ちからドラとシャボ待ちに
変えた直後に石井阿依pから(1)筒を出和了り12000の跳満。
・南2局 親番:内田p
最後の親番となってしまうか内田pが執念の2索大明槓でめくれたカン
ドラは何と2索! 一発、裏ドラ、カンドラアリのBルールならではの
東のみが親満4000ALLに化ける。
一二三九九(45)(6)ツモ 2(大ミンカン)東(ポン)
・南3局 親番:石井阿依p ドラ白
ドラ白は配牌から岩井pに2枚と石井阿依pに1枚づつで終盤まで重い
雰囲気が漂うが、岩井pが六九萬待ちで先制立直をかけると石井阿依p
も(5)筒切りで追っかけドラ白待ち七対子で立直。
石井あやpは基本面前派で滅多に鳴きをしないが、思わず「えっ?」と
声を出しそうになる動きを見せる。下家に岩井p、上家に石井阿依pに
挟まれた状況でこの時ばかりは珍しく仮テン取りの(5)筒チー。
しかも鳴くと三萬か九萬の単騎待ち選択になる。九萬を切れば岩井pの
当たり牌であるが三萬切りで窮地を脱出すると何と海底で流れてきたの
が、残り1枚のドラ白! もし石井あやpが鳴いていなければ親の6000
ALLをツモられていた所だ。石井阿依pのツキを感じ取っていたから
こそ出来た鳴きなのか自分には分からぬが、とにかく嗅覚が鋭いとしか
いいようがない。流石にこれには苦笑いを浮かべ仮テン取らずにメンツ
を崩しノーテンでこの2人のアガリを押さえた石井あやp。
個人的にはこの回で優勝者を確信出来てしまったぐらいに見所ある攻防
であった。
・南4局 親番:石井あやp ドラ(3)筒
いよいよ後がなくなったのは内田p。ここまで4万点以上あったが、
9回戦終了時に黒沢pとの差は59.3。自力で足切りを回避するには更に
3万点以上上乗せし、7万点強の素点が求められる。
おそらく誰もが内田pの敗退を思っていただろう。しかし会場の雰囲気
が徐々に変わり始める。
三三三(111)24888北北 ツモ北
何とこの土壇場でスッタン(四暗刻の単騎待ち)を聴牌! 黒沢pとの
ポイント差を計算していたのか内田pのツモが一打一打やたらと遅くな
ると共に周囲の緊張も高まり会場の空気が変わり、それを察知したのか
石井あやpがいち早く手終い。そこへただ一人マイペースですくすくと
手作りをしていた石井阿依pから立直が入る。
六七七八八(234678)55
2索単騎で待っていた内田pが掴んだのは六萬。観念したかのように
力なく河に置かれるとご丁寧に裏ドラまで乗り石井阿依pへの跳満放銃
となり内田pの5位が確定した。
<10回戦結果>
内田p:8.0 石井阿依p:▲21.9 岩井p:▲8.6 石井あやp:22.5
<小計>
内田p:▲69.4 石井阿依p:8.9 黒沢p:▲18.1 岩井p:6.1 石井あやp:72.5
■11回戦
・東4局 親番:岩井p ドラ(8)筒
石井阿依pが4巡目にドラも役もない立直。それを見透かしたように
黒沢pがドラ待ち七対子で追っかけ立直。 好調の時の黒沢pであれば
ツモって3000・6000に仕上げるであろうがこの日ドラが本当によく入る
石井阿依pを逆手に取り注文通り出和了り満貫。
四四六六九九(33899)北北 (8)ロン 石井阿依p→黒沢p8000
石井阿依pは9回戦から3連続ラスでついにポイントマイナスへ。
優勝争いは旧知の仲である石井あやpと岩井茜pの2人にほぼ絞られた。
<11回戦結果>
石井阿依p:▲27.7 黒沢p:6.4 岩井p:26.3 石井あやp:▲5.0
<小計>
石井阿依p:▲18.8 黒沢p:▲11.7 岩井p:32.4 石井あやp:67.5
■12回戦
1位の石井あやpと岩井pのポイント差は35.1。プロクィーンはウマが
1−2着で5−15付くのでトップラスなら30差を縮める事が出来る。
だが麻雀は4人でやるゲームである以上、他の同卓者もただ黙って優勝
の行方を指をくわえて見ている訳ではない。3着・4着争いもまた熾烈
を極めた。
東1局、石井阿依pの立直をかいくぐり黒沢pが立直、白の2600ALL。
その後も石井阿依p大暴れ。
・東4局 親番:石井あやp ドラ白
一二四五六七八九678白白 三ロン 岩井p→石井阿依p12000
ダマで上記手牌で張っていた石井阿依p。岩井pが立直をかけたと見て
追っかけ。守備には定評のある岩井pでも立直後では防ぎようがない。
残り3枚あった三萬を一発で掴んだのは岩井pで痛恨の跳満放銃。
・南1局 親番:黒沢p ドラ四萬
またも岩井pと石井阿依pが激しく激突。
今度は石井阿依pが岩井pの当たり牌を掴み満貫放銃。
石井阿依p:六六七七八八22(45678)
岩井p :八八白白 三四五(チー)二(ポン)一(ポン) 白ロン
・南2局1本場 親番:岩井p ドラ4索
岩井pにとっては最後の砦となる親番。前局、断幺のみで何とか親番を
死守するも1本場、石井阿依pがいとも簡単に満貫ツモアガリ。
八八(888)99白白白 三(ポン) ツモ9
・南3局 親番:石井阿依p ドラ三萬
石井阿依pの攻撃が止まらない。見ていて決していい手作りをしている
とは言えない時もあるが、出入りが激しい麻雀を一人でも行っている事
によって優勝が決まる直前であっても場は未だに活気づいている。
黒沢pが以下の仕掛けを入れるも石井阿依pが立直で反撃。
(11)白白 北(ポン)中(ポン)8(ポン)
裏ドラ3索でこれを6000ALLとし、トータル2着まで浮上。
三四五(34578)33567 ツモ(9)
・南3局1本場 親番:石井阿依p ドラ2索
この石井阿依pの怒涛の攻めを誰が止めるのか? 止めたのはここまで
どんなに手が入っても全く前に出ようとせず静観していた石井あやp。
一一一二六七(1234)123 ツモ4
三色狙えず待ちも悪くないので親を流す意味でも立直かなと思っていた
が、立直せず二萬切りの役なし仮テンで徹底した守備の構え。数巡後
あっさり500・1000(600・1100)をツモり、ここでも石井あやpが優れた
バランス感覚の持ち主あることを見せられた。
・南4局 親番:石井あやp ドラ南
ここまでの素点は
石井阿依p:50600 黒沢p:31400 岩井p:18500 石井あやp:19500
石井あやpの配牌は、五八九九(14679)南南發發中
ドラと字牌をこれだけ抱えていればもう石井あやpの優勝は揺るぎない。
ただ一人、決勝初出場であった石井あやプロによって第5期プロクィーン
涼崎いづみプロ以来、3年ぶりに優勝杯が最高位戦に亘ることになった。
<12回戦結果>
石井阿依p:35.6 黒沢p:6.4 岩井p:▲26.5 石井あやp:▲15.5
<合計>
石井阿依p:16.8 黒沢p:▲5.3 岩井p:5.9 石井あやp:52.0
【第8期プロクィーン決定戦】優勝:石井あやプロ(最高位戦)2位:石井阿依プロ(協会)
3位:岩井茜プロ(連盟)
4位:黒沢咲プロ(連盟)
5位:内田美乃里プロ(連盟)

最後に自分に関わりのあった事のある3人へコメントを残しておく。
石井あやプロ:
優勝おめでとうございます。もはや自分が知っているさん上野店での
メンバーとしてではなくプロとしての石井あやプロをこうして大舞台
で目にする事が出来るとは思ってもいませんでした。
今後の更なる飛躍に期待しています。
岩井茜プロ:
2年前ほとんど何も出来ずに涙をのんだ決勝戦に再び舞い戻り、最後
まで優勝争いに加わり本当によい対局を見せてもらい感謝しています。
順位も一つ上げ確実に成長しているのではないでしょうか?次こそは
悲願の初タイトルを!
黒沢咲プロ:
お疲れさまでした。これまでの決勝戦と比べると黒沢咲らしさは少な
かったかもしれませんが、一度頂点に立ったものはいつかは負ける、
これもまた宿命。黒沢プロは既に何の為にタイトルを目指すのか?を
見つけているのかもしれませんね。残念ながら三連覇はなりませんで
したがプロクィーン連覇で歴史に名を刻んでくれた事にファンは誇り
に思ってくれている事でしょう。本当にお疲れさまでした。

<※参考過去日記>
第5期プロクィーン決勝観戦
http://matsu-kouryu.seesaa.net/article/53590701.html?1287987661 第6期プロクィーン決勝観戦
http://matsu-kouryu.seesaa.net/article/108289013.html?1287987540 http://matsu-kouryu.seesaa.net/article/108333629.html?1287987387 第7期プロクィーン決勝観戦
http://matsu-kouryu.seesaa.net/article/130680868.html?1287987758